「最後に申すべき事」(1)

序――これまでの経緯

小生は平成十七年三月二十五日、貴殿に対し「対決申し入れ書」を送附した。
その趣旨は――
御本仏日蓮大聖人の御法魂まします唯一の正系門家・富士大石寺において仏法が濁乱すれば、「仏法は体のごとし世間は影のごとし、体曲れば影ななめなり」の御金言のまま、日本は必ず亡びる。しかるに貴殿は三大謗法を犯して大聖人の仏法を破壊していささかの改悔もない。その三大謗法とは

一には御遺命の破壊――大聖人の一期の御遺命が、広宣流布の暁の国立戒壇建立であることは御付嘱状・三大秘法抄に明々白々であるにもかかわらず、貴殿は池田大作に諂って、「国立戒壇論の誤りについて」と「本門事の戒壇の本義」の二冊の悪書を著わして国立戒壇の正義を抹殺し、今日なおも「国主立戒壇」なるたばかりを主張して、国立戒壇を否定し続けている。
二には戒壇の大御本尊に対し奉る誹謗――貴殿は昭和五十三年二月七日、河辺慈篤との面談において、あろうことか戒壇の大御本尊を「偽物」と断ずる重大な悪言を吐いた。
三には謗法与同――貴殿は身延派の謗法僧を、再三にわたり大石寺に招き入れた。
この三大謗法は断じて許されざる御本仏への叛逆であるが、これに加え、貴殿はさらに今、法華講員に登山を強要し、営利を目的とした御開扉を強行している。この濫りの御開扉は、戒壇の大御本尊に対し奉る不敬冒涜のみならず、大御本尊に害意を懐く悪人にその隙を与えるものである。
以上の重大なる仏法違背を見ながら知りながらこれを黙止すれば、大聖人への不忠これに過ぎたるはない。その上、小生の貴殿に対する諫暁はすでに三十五年の長きに及んでいる。ここに事を一挙に切らんがため、公開の対決を申し入れたものである。
ゆえにこの対決においては、勝負決着後の双方の責務として、「小生が敗れた時は、直ちに顕正会を解散する」「貴殿が敗れた時は、直ちに御開扉を中止し、猊座を退き謹慎する」とし、さらに、もし貴殿不都合の場合は宗内僧俗による代人をも可とした。

この「対決申し入れ書」に対し四月二日、「日蓮正宗青年僧侶邪義破折班」名儀で、返書が送られて来た。しかしその内容たるや、三大謗法を隠さんとして嘘に嘘を重ね、その余は下劣な悪口のみというものであった。
しかも肝心の対決の応否については
 「貴殿ごとき大謗法の痴れ者が、宗開両祖以来、唯授一人の血脈を承継遊ばされる御法主日顕上人猊下に対決を申し入れるなど言語道断である。身の程を知れ」
と居丈高に罵った上で
 「貴殿および顕正会は、すでに除名・解散処分に付されたのであるから、謗法の徒・謗法の団体である。よってかかる者の対決申し入れに応ずる道理はない」(取意)
として対決を逃避した。
しかしこの除名・解散処分こそ、御遺命に背く学会・宗門が、諫める顕正会(当時妙信講)を抹殺するために下した不当・理不尽の処分であれば、これを以て対決回避の理由とするはあまりに卑劣かつ無慚である。
よって小生は「重ねての対決申し入れ書」を四月二十七日に送附した。

貴殿は前回同様の名儀で五月四日、返書を送って来た。だがその内容は前にもまして支離滅裂で下劣、ただ追いつめられた苦しまぎれに虚言と悪口を並べただけという代物であった。
そして肝要の対決については、小生を「驕慢の凡夫」「謗法の一在家」と罵り、顕正会を「謗法の一在家団体に過ぎぬ顕正会」「日蓮正宗の仏法の猿マネしている集団」と嘲った上で、顕正会の命運を賭してのこの護法の対決申し入れを、なんと「大悪謗法の謀略に過ぎない」と決めつけた。そして結論として
「かかる貴殿の非道極まる〝申し入れ〟などに対し、責任あるお立場の御法主上人がお受け遊ばされることなど、絶対に有り得る筈のない道理であり、また本宗僧俗もそのような馬鹿げた申し出をお受けされることには絶対に反対申し上げる。さらにまた本宗僧俗の誰人にせよ、そのような非道な〝申し入れ〟を、御法主上人に代って責任をもって受けることなど出来よう筈もない」
として、貴殿はもとより、代人を立てての対決すら逃避した。
貴殿にもし確信あるならば、この対決は貴殿の障りとなる顕正会を除く無二の好機であったはずである。しかるにこれを逃避した事実こそ、すべてを物語ってあまりある。所詮、御遺命に背き奉る者が、命かけての護法者と、眼あわせての対決など為し得るはずもないのである。
ただし、これでは事は済まない――。
御本仏大聖人の御心に背く貫首によって唯一の正系門家が濁乱するならば、日本が亡んでしまうからである。
さればここに、貴殿の返書における嘘とたばかりを粉砕すると共に、三大謗法を犯して一分の改悔なき貴殿の、天魔その身に入った正体を白日に晒し、以て大聖人の御裁断を仰ぎ奉るものである。

 以下、返書の虚偽と欺瞞を粉砕し、以て貴殿の天魔その身に入る正体をここに顕わす。返書は「日蓮正宗青年僧侶邪義破折班」の名儀になっているが、小生は貴殿が当該名儀を装って書いたものと看做して論を進める。また貴殿はすでに御本仏に背き奉ったこと決定の人なれば、以下二人称は「汝」とする――